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【感想】映画『夜明けのすべて』ー感動の人間ドラマと演技の魅力に触れる

レビュー

今回は映画「夜明けのすべて」のレビューをご紹介します。この作品では、カムカムエヴリバディで共演した主演の二人が再び共演しており、その点が話題となっています。

藤沢美紗(上白石萌音)はPMSの影響で月に1度怒りが抑えられなくなってしまう。
山添孝俊(松村北斗(SixTONES))はパニック障害に苦しんでおり、やる気を失っている。
しかし、彼らは職場の理解に支えられ、特別な絆が芽生える。光石研、りょう、渋川清彦らが出演。

引用元:https://yoakenosubete-movie.asmik-ace.co.jp/
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評価・総合点数

ストーリー キャラクター 演技 独自性 美術 エンタメ性
総合点数 感動(10) プロット(10) キャラデザ(10) キャラ魅力(10) 主演者(10) 助演者(10) ユーモア(10) 革新(10) 視覚効果(5) 音響効果(5) サプライズ(5) 没入感(5)
85 9 9 9 9 9 8 8 9 4 3.5 3.5 4

※『美術』と『エンタメ性』内の4項目は、それぞれ5点満点として計算

ストーリー

感動

どの場面で特に感動したか?

感動:9点 /10点

プラネタリウムでの『夜は夜明けが最も暗い〜』という
栗田社長の亡き弟の言葉の朗読の場面が感動的
▶良くも悪くも夜明けも社会も皆に平等に訪れる。特徴を抱えた2人の主人公が暗闇の中でも前向きに成長してきたプロセスと未来への希望を感じ、涙が溢れた。

山添の元上司の親心のような涙
▶長い間見守ってきた山添が、苦難を乗り越えた。自身が抱えていた晴れない気持ちの正体は、亡き妻の存在に対する心の整理だけでなく、山添への思いも含まれていたと思われる。

栗田社長の素直な涙の隠し方
▶藤沢の口から、弟と共に築いてきた会社で働けて幸せだった』という言葉を聞いて、心から喜んでいたことが伝わってくる。

プロット

予測不能な展開や驚きに満ちた瞬間はどこか?

プロット:9点 /10点

序盤から詳細な経緯説明があった藤沢美紗(上白石萌音)とは対照的に、山添孝俊(松村北斗(SixTONES))の境遇はなかなか分からなかった。セラピーでの栗田社長と山添の元上司の関係性の描写から山添の境遇が分かり、そこからやっと主人公「山添」の視点が強まった。

山添と恋人の大島(芋生 悠)の関係性は詳細な説明がないが、病気の発症前後で二人の距離感に変化が生じてしまったことが、立ち振る舞いから伝わってきた。

キャラクター

キャラデザ

キャラクター自体が、性格や物語にどれだけ適していたか?

プロット:9点 /10点

藤沢美紗(上白石萌音)真面目で気配り上手(たまに空回りしてしまうが)な人柄が、PMSの影響の場面に大きなギャップを与えており、その対照が症状をより分かりやすく感じ取ることを可能にしていた

キャラ魅力

登場人物たちの心情や成長がどれだけ細かく描写されていたか?

キャラ魅力:9点 /10点

主人公二人の周囲の人たちの、人間としての本音の発言(山添との電話後の元上司の発言昼食時の栗田社の会話など)が、綺麗事ばかりではなく、物語に深みを与えていた。

演技

主演者

メインキャストがどれだけ役柄にハマっていたか?

主演者:9点 /10点

藤沢美紗(上白石萌音)の演技にはメリハリがあり、PMSの影響で情緒が不安定な場面や、歩きながらみかんを頬張る姿など、演じ分けが魅力的だった。一方、山添孝俊(松村北斗)は作中で著しく発作が出るのは1回だが、パニック障害の発作以外の生活への影響のリアルさを見事に演じていた。

助演者

脇役や助演者たちがどのようにして物語をサポートしていたか?

助演者:8点 /10点

栗田和夫(光石研)は、主人公二人を会社に受け入れる懐の広さと、社員への優しさを全面に押し出し、会社の存続・成長を推し進める姿が印象的であった。また、弟との別れと向き合う姿が度々描写され、週末には弟の位牌と盃を交わすなど、会社経営で心の隙間を埋めていたが、主人公二人の成長と共に、頼もしい社長像の表現の幅がどんどん広がっていった。

独自性

ユーモア

コメディ的な笑いを引き出す要素の有無、また効果的だったか?

ユーモア:8点 /10点

ヘルメットを前後ろ逆に被る社長ポテチの残りをかき込む女子らしくない藤沢大人びた小学生2人、に笑った。映画のテーマ的に、暗くならないようにバランスが取れていた

革新

新しいアイデアや視点を提供していたか?

革新:9点 /10点

この映画で取り扱われる症状とは無関係でも、自分の個性が社会に受け入れられない瞬間は誰にでも訪れる社会とのギャップの経験の意味を深く考えさせられる映画体験を通じて、今後の人生における知恵を得ることができた。

美術

視覚効果

映像やセットデザインがどれだけ印象的だったか?

視覚効果:8点 /10点

大企業と中小企業の描き方がリアルだった。
撮影セット、社員、来客、空気感、どれも現実にありそうな表現だった。

ラストシーンで、藤沢美紗(上白石萌音)母(りょう)を見送る際に雨が降っていた。この雨のシーンは、冒頭の美紗が 雨の日にバス停でダウンしてしまった場面と対比されていると思われる。この対比から、美紗の個性との向き合い方の成長度合いが描かれていると感じた。

細かい点だが、同じ喫茶店を利用するシーンで、同じ席を使わないところが現実的で良かった。

音響効果

音楽や効果音がどのようにして物語の雰囲気を演出していたか?

音響効果:7点 /10点

不安を煽ったり、ドキドキするような演出はなく、時折、マリンバの音色のような
優しいテーマBGMに包まれていた。

エンタメ性

サプライズ

予測不能な展開やサプライズがどれだけ効果的だったか?

サプライズ:7点 /10点

男女の友情なのか、恋愛感情なのか、どっちつかずで白黒つけない展開が、この映画にふさわしいと感じた。

没入感

物語にどれだけ没入できたか?

没入感:8点 /10点

日常の描写には生活感やリアルさがあり、そのような描写が最後のプラネタリウムのシーンで
視聴者と主人公が等身大の目線で 社長の弟さんのあのメッセージを受け止めるための準備だったと感じました。

さいごに

主人公2人の自身の個性への向き合い方の成長は、周囲の人たちの心をも癒やし、登場するすべての人、視聴者をも巻き込んで、前を向いて歩んで行く自信をもらいました。

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